――"はぐれ者の水辺"セネスタ―― 《概説》  北にザルツを望み、南にリーゼンが控え、西にテイフト山脈が聳え、東にアレスタ海に迎え られる、ノスリア河口近くにある、遺跡群の中に備えられた小さな街です。  アレスタ海から流れ込む海水が小さな湖を作っており、その岸辺に構えられた石造りの街は 、小さいながらも確かな活気と活力に満ちています。 《歴史》  この街が生まれたのは、《大破局》のさなかであると言われています。  元冒険者や元軍人などが荒れた生に悩み、安らぎを求めて隠居しに訪れていた人々が、そこ に住んでいたルーンフォーク達と共同して作り上げた街であり、それゆえに人族・蛮族に限ら ず、妖精や幻獣なども、共存区以上に入り混じって暮らしています。  本来ならば敵対的である蛮族すら、少数ながら混じっており、それが下記の宗教問題へと発 展していると言う事は否めません。  その理由から、宗教色は敢えて薄くなっており、住民の誰もは信じている宗教を特定に持っ ている訳ではありません。ダグニアからは異端の都市として危険視されていますが、現状、遠 方である事、遺跡を途中で経過しなければ辿りつけない事、湾岸の危険性などから、十数回に 渡るレコンキスタが成功した事はありません。  当時は教会内での権力抗争が激化した時期と重なっており、鉱石などの採掘が出来る土地で も無い都市に人命を削る意味が疑問視され、現在ではダグニア地方では交流を禁止する、と言 う条例が出される事で、一応の決着を迎えています。 《特色》  セネスタでは、豊富な水と樹、そして遺跡に残された技術による製紙産業が発展してきまし た。戦争中、物資の流通が断絶された状況においても、セネスタには書物が残されています。  かつての遺跡の乱立により、地下には縦横無尽に地下水脈が走っており、飲料水には事欠き ません。が、取水の為にはまだ生きている浄水施設を確保する必要があり、水長と呼ばれる人 物がそれらの管理を引き受けています。  この街の住民が一定以上の生活水準を保って来れたのは、ひとえに地下水脈のお陰でしょう。  表立った外交が出来ないのは、多くの教会からの異端認定とかつてのレコンキスタが原因で す。  バルバロスの顎が近い事もあり、またまだ生きている遺跡も多く、そこを訪れる人は決して 多くありません。内部に知人が居たりするならば話は別でしょうが…。 《地域性》  テイフト山脈の山裾に位置するセネスタは、海流、水脈、そして遺跡群に囲まれた天然の要 塞です。当時のレコンキスタ軍が、守りやすく攻めにくいと舌を巻いた程です。  鉱物などの産出はなく、主だった特産品は清水や、あるいは泳げるくらいに安全な砂浜くら いのものです。  攻め落としたといえども利益は薄いでしょう。  アレスタ海は隣接するゾマ湿原に棲むリザードマン達に支配され、アレスタシージェネラル 等の獰猛な海獣の存在も確認されているために海路を通る訳にもいかず、レコンキスタの進軍 は困難を窮めていました。  セネスタに通じる洞窟は複雑に枝分かれしており、一部のものには浸水もしています。土地 勘の無いものが不用意に足を踏み入れると、出てくる事も出来ないと言われています。  これらのことから来客も少なく、都市の人々は未だ一定の思想や宗教を持つ事なく、静かに 暮らしています。 《象徴》  セネスタにはその歴史を物語る、絡繰り仕掛けの時計塔が建っています。  魔動機文明時代の技術の粋を凝らして作られたというこの時計塔は、セネスタの象徴とも言え るでしょう。  頂上は展望台となっており、セネスタを始めとした遺跡群やアレスタ海が一望できます。  戦時には物見台として活躍したこの塔は、今は淡々と水辺の時を刻んでいます。  また、水辺へと向かうと小さいながらも砂浜がある事に気づくでしょう。流れこむ水による小 さな湖とも言えるこの水辺は、安全に広々と泳ぐ事ができる場所としても解放されており、一部 の住民からは季節を問わず憩いの場所となっています。 《街の掟》  セネスタはその住民構成上、戦闘能力を持つ住民が半数ほどを占めています。彼らの危険性を 考慮、また他の住民の安全性を保つ為にも、街には一つ、基準となるルールが設けられました。  それは、【平時において街の中での一切の戦闘行為を禁ずる】と言うものです。  戦争の時はいざ知らず、世間が平和である時は住民による戦闘行為は禁止されました。この掟 を守る限り、外部は彼らを危険視こそすれ、手を出して来る事はない為です。  また、それにより、何らかの問題が起きた時は冒険者や、外部のコミュニティに依頼を出す事 が多くあります。特にこの街にコネクションを持っている相手であれば、優先して依頼が送られ て来る事でしょう。 -------------------------------------------------------------------------------------------------- ★コネクション周りについて 水辺のコネクションは個人ではなく、【街】に対して取られます。例を挙げると以下のように。 …1回目の来訪で「"はぐれ者の水辺"セネスタ(50/来訪者)」が獲得可能 …5回目の来訪、あるいはGMB使用で(500/市民権)になり、 …30回目の来訪、あるいはGMB使用&引退限定で(2000/永住)が可能になります。 -------------------------------------------------------------------------------------------------- -------------------------------------------------------------------------------------------------- ◆  ◆  ◆  ◆  ◆  ◆  ◆  ◆  ◆  ◆  ◆  ◆  ◆  ◆  ◆  ◆  ◆ アスタナ橋┳せせらぎ通り┳打ち水通り┳雑貨屋『さざなみ』      ┃      ┃     ┃ 砂浜━郊外┻水路 図書館┻時計塔  ┗喫茶店『不知火』     ┃   ┃  花園┻墓地 ┗地下水道 ◆  ◆  ◆  ◆  ◆  ◆  ◆  ◆  ◆  ◆  ◆  ◆  ◆  ◆  ◆  ◆  ◆ -------------------------------------------------------------------------------------------------- 《街の名所と主なNPC》 ◆アスタナ橋(街の入口)  遺跡を越え、セネスタをぐるりと囲う堀が最初に目に入ります。  そこには橋が渡され、脇には小さな掘っ立て小屋が建っているのが分かるでしょう。  掘っ立て小屋には案内人である所の「ボロ」と言う何者かが住んでおり、街を訪れる人を見定めています。 "セネスタの案内人"ボロ(種族:?? 性別:声からすると男? 年齢:??) 「あたしはたいていこの小屋に居ますんで、帰りたい時は声を掛けてくださいな」 --------------------------------------------------------------------------------------------------  "セネスタの案内人"を自称する、何者かよくわからないけれど気のいい何かです。  ボロボロのローブを着込み、決して顔を見せる事なく客人と談笑する姿が多く見られています。  住民から話を聞く限り、少なくとも500年前には既に存在していたらしい、詳細不明の存在です。  とは言え、悪さをする訳ではなし。馬車の御者なども務めているらしく、遺跡の中を迷いなく案内してくれます。  セネスタより帰る時は、彼に声を掛ければ遺跡の外まで送ってくれるので、忘れないようにしましょう。 ◆せせらぎ通り  街に入ってすぐの路地です。道端には水路が流れ、人々の行き来も多いメイン通りと言えます。  水路には枝垂れる、細長い枝を持つ木――ヤナギと呼ばれています――が茂り、常に涼し気な空気が漂っています。  路上には露店を開いている人も見られ、多くは軽食や土産物を買うことが出来ます。  基本的にその値段は10ガメルを越えるものは少ない為、気軽に買って行く事ができるでしょう。 "せせらぎの見通"バツェ=グァネ(種族:リャグ 性別:男 年齢:27) 「はいはいはい! はぐれ者の水辺、特産の水! そこの旅人さん買ってかない? 美味しい水、冷たい水!」 --------------------------------------------------------------------------------------------------  セネスタ地下の水脈に棲んでいる、水の眷属…ではなく、れっきとした蛮族です。  しかしリャグでありながら、複頭に疑問を持ち抜けてきた者であり、その姿はカエルの亜人と言った方が正しいでしょう。  水路を辿り、色々な箇所から水を採取しては売り歩いています。  暗視は持ちませんが、暗い所に行くと目が金色に光り、まるで昼間の様に見通せるそうです。  少なくとも、ソーサラー1、エンハンサー1、バード1の技能を習得しています。  また、彼の出店で売っている水は一律1ガメルで、同じボトルでも水質や味は様々です。  が、そのどれもが常に季節の温度に合わせており、夏場ならキンッと冷えたものが、冬場なら白湯を出してくれます。 "包み揚げ一筋40年"ハオティ=イレブン(種族:リルドラケン 性別:男 年齢:54) 「おまたせ、揚げたてが一番美味しいよ!」 --------------------------------------------------------------------------------------------------  からころと音を立てる、移動式の屋台を使って軽食を売り歩く、リルドラケンの料理人です。  鉄製の鍋に油を熱して作る『山鳥の包み揚げ』はセネスタの住人にも人気で、毎日一つ買いに来るリピーターも居ると言う話です。  近づけば香ばしい匂いが漂い、その日ごとに変わる味付けが楽しめる事請け合いです。  彼自身はこの街の生まれであり、親の代から続く包み揚げを若い内から練習して来ています。  14歳の頃には既に屋台に立ち、町の人々に軽食を振る舞い続けている、その道一筋の職人と言えるでしょう。  彼の出店で売っている包み揚げは一律3ガメルで、注文したらその場で揚げてくれます。  冷める前に彼の前でかぶりつくのがマナーと呼ばれる程で、食べた者の笑顔を見ると彼もサムズアップを返して喜びます。 ◆打ち水通り  街の中心と言える商店街ですが、流通があまり無いこの街では食料品と言うよりも嗜好品や外食と言った方面での活気を持っています。  荷車を引く者、桶を担ぐもの、時間によってはどこからか、音楽すらも流れてくる、街で最も賑やかな場所です。  だいたいの店が、昼前…10時頃…を境に、その店先の看板を『Close』から『Open』へとひっくり返します。 ◇雑貨屋『さざなみ』  微妙に錆びた吊るし看板が風に揺られ、きこきこと音を立てている、そんな古びた雑貨屋です。  ショーウィンドウの中には沢山の楽器が飾られており。雑貨屋というより楽器屋と言う雰囲気を見せています。  実際の品揃えも見た目どおりであり、そのほとんどが楽器で占められています。  ですが、店主が妙な凝り性を見せている事もあり、一部の酒類や釣り竿、雨傘、書物などは数は少ないですが良品揃いと評判です。  特に本人が好んでいるのか、酒類は古い銘柄から揃っている為、一部の住人に好評を受けています。 "騒がしい蓄音機"レコーディアン(種族:ポルターガイスト 性別:?? 年齢:??) 『――いらっしゃいませ、何をお探しですか?――♪』 --------------------------------------------------------------------------------------------------  『さざなみ』の店主である蓄音機です。喋るし食べるし動くので、初めて店を訪れた人は大層驚きます。  どこぞの気まぐれな死霊術師が、旅のお供のラジオ代わりに作った一品らしく、遺跡の中に放置されていたのを見つけ出されました。  アンデッド的にはまだまだ若輩との事、また人に慣れているのか積極的に敵対せず、かつ意思疎通もできたので、そのまま住人と相成りました。  とにかく喋る事、騒がしい事が好きで、客人がいない時は楽器に取り憑き、それを演奏するのを趣味としています。  また、蓄音機に取り憑いている時は、遺跡から見つかったレコードを再生する事もあります。その際だけは珍しく喋らないそうです。  このキャラクターは、「知能:人間並み」「反応:友好的」「言語:魔動機文明語、魔法文明語、交易共通語」のポルターガイストとして扱います。 ◇喫茶店『不知火』  黒染めの木板を使用した折り看板に、白墨でメニューが書いてあるのが特徴の喫茶店です。  メニューには軽食と甘味が多く、その理由からか女性客も多く見られています。  店主のお勧めはサンドウィッチとの事ですが、彼はあまり絵心がないらしく、消し後の上に小さく「見た目は選んで確かめて下さい」と書いています。 《メニューを一部抜粋》 ・料理  ┗グラタン…15ガメル   (あつあつ焼きたて。焦がしチーズが香ばしい。濃厚なホワイトソースに地元直産の魚介とマカロニがたっぷり入っています)  ┗オムレツ…8ガメル   (ふんわり甘めの味付けです。濃厚なトマトソースをたっぷりと、産みたて卵とフレッシュバターを贅沢に使用)  ┗ボロネーゼ…10ガメル   (トマトと夏やさいをオリーブオイルで炒め、牛挽肉と合わせました。ナツメグの利いたぴりりと辛めの味付けです)  ┗サンドイッチ…10ガメル   (ごろごろローストチキンダイスと野菜を、特製ドレッシングでまとめたサンドイッチ。ボリュームたっぷり、お腹も満足。テイクアウトOK) ・甘味  ┗オペラ…10ガメル   (コーヒーとチョコレートの風味が豊かな、濃厚で贅沢なケーキ。甘さは控えめ)  ┗ザッハトルテ…8ガメル   (ココアをたっぷり使用したチョコスポンジに、生チョコのクリームを挟み込んだ、本格派チョコレートケーキ)  ┗チョコパフェ…8ガメル   (本格ルキスラ風ココアを加えたシロップが甘酸っぱいオレンジにぴったりマッチ。子供から大人まで楽しめます。テイクアウトOK)  ┗生ハムメロン…10ガメル   (完熟メロンに店主厳選の生ハムを載せた、シンプルな一品。素材の味をお楽しみください) "喫茶のマスター"プレイス=ディエ(種族:ライカンスロープ 性別:男 年齢:27) 「……はい。 ……サンドイッチですね、かしこまりました」 --------------------------------------------------------------------------------------------------  豹の獣人ですが、見慣れない人からは良く猫と間違えられます。ある戦いに巻き込まれた際に障害を患い、人化が出来なくなってしまっています。  ライカンスロープの集落にも居られず、人族の領域に向かう事も出来なかった彼は、いつの間にかここへ辿り着いていたといいます。  一人で喫茶店を経営、切り盛りしており、無口ながらもその料理人としての腕は確かで、隠れながら女性客からの人気もあります。  なお、本人がアピールしない為に誰も気づいていませんが、恋人募集中だったりします。  知らぬは本人ばかりなり。なお、料理に毛を落とした事が一切無い、という密かな自慢を持っています。 ◆時計塔  上記(《象徴》を参照)にも書いた通りの、街やその周辺を見渡す事のできる高さ55m程の時計塔です。  塔の半ばには大きな時計盤があり、内部の大半を占める絡繰り――魔動機によって、その動きを1000年来止めずに動いていると言います。  外周には塔の上に登る為の大きめな階段があり、春先では暖かな日差しが、秋口では涼しげな風が迎えてくれるでしょう。  ……夏の日差しのまぶしさ、冬の積雪など、熱中症や危険がある時期もあるので、注意が喚起されてもいますが(真冬は閉鎖されます)。  一人を除いて、決まった人物がいる事はありませんが、街にあるマナカメラ屋に頼む事で、塔の上で記念写真を撮る事ができます。  1枚300ガメルと少し割高ですが、時計塔を訪れた客人のほとんどが頼んで行くそうです。 "夜警の煌めき"ウィトリ=バートリ(種族:ファミリアU(鳥) 性別:女 年齢:???) 「おやおやおや、こんな辺鄙な塔に登ってみようなんて。 随分多分に物好きな」 --------------------------------------------------------------------------------------------------  決まって時計塔の頂上に陣取っている、中型の鳥人めいた、しかしその生命を持たない、魔法生物らしき住人です。  飛ぶのには不都合そうな衣を纏っており、近づけば、呪術的な香の匂いがする事に気づくでしょう。  その正体は、かつてある魔女に使い魔として使役されていた鳥人であり、未だ契約が続いたまま、本人が行方知れずの為にここに滞在しています。  主人が研究していた魔術の発展を受け継いでおり、発動こそ自分では出来ませんが、見る者が見れば分かりやすく纏められた技能書を所持しています。  光物には目が無く、たまにそれで失敗することもあります。これを逆手に、技能交渉をする事も可能でしょう。 ◆図書館  街の中でもひときわ大きい建物で、時計塔の下部に隣接するように造られている、魔動機文明時代から残る大図書館です。  魔動機による空調が常に効いており、一定の温度と湿度が保たれています。魔動機の無駄遣いとのぼやきが聞こえましたが、風の戯言でしょう。  なお、その資料は非常に学術的価値が高い…と思われていましたが、海辺であること、戦争を経験したことなどが合わさり、そう言った価値のある書物は 大半が失われてしまっています。  しかしそれでも、この街についての歴史書や地理を記した書物、また生物学、錬金学、軍術等、街の住人が記した指南書や研究書は残されています。  興味がある人は、ここでそう言ったものの写本を購入してもいいかもしれません。  写本は1頁につき、10ガメルで取引されています。 "鋭い眼つきの"ハンフリー=ノック(種族:ミアキス 性別:男 年齢:19) 「……図書館では静かにな」 --------------------------------------------------------------------------------------------------  図書館の司書であり、当代のセネスタ町長を任じている若きミアキスです。  年若い割に老成された話し方をしており、基本的に引きこもり体質の勉強家で、その勤勉さから町長へ推薦されました。  その考えは古臭く保守的で、外交なんてまっぴらごめん、このまま街で引きこもりたいと思っているどうしようもない町長ですが、考えはこの街の気風と 合う為、軋轢などは起きていません。  普段から図書館に住んでおり、人がいない時でも読書、写本、勉強に勤しんでおり、人が来ても上記のように、当たり障りの無い事を言うだけです。  なお、図書館の明かりは魔動機により点いていますが、それでも細かい字を読み続けている為か視力が悪く、眼鏡をかけています。 ◆水路  城壁と見紛うような、かつての魔動機文明時代の上水道の下。街全体を囲うようにして堀(水路)が引かれています。  堀には湖から引かれた水が時計回りに流れており、住民は野菜や荷物、郵便などをこの水路を使って運搬しています。  水路へ降りる道はアスタナ橋の側に階段がありますが、泳ぐなら砂浜が、涼むなら図書館があるので、住民が訪れる事はあまりありません。  人気がなく、とても静かな水路脇は、隠れた休憩スポットになっていると言ってもいいでしょう。  もし舟漕ぎに会ったならば、彼らの持つ技術や伝わる文化を教えてくれるかもしれません。 …有料で。 "手紙運びの"ティムニー=ブラッジェ(種族:人間 性別:男 年齢:21) 「ああ、ああ、こんにちは。 落っこちないよう気をつけて」 --------------------------------------------------------------------------------------------------  櫂を片手に、郵便や荷物を運ぶ船頭です。まだまだ見習いですが、大量の荷物を自分の船に乗せています。  見習いとは言え、彼もまたこの街の出身者。様々な先達の教えによって、櫂さばきや波を読む技能を覚えています。  また、波がのどかな日には舟歌と呼ばれる、船乗りやセイレーンの伝統の歌を鼻歌交じりに歌うなど、陽気な一面もあるようです。  しかし慎重派ですが、何故だか運が悪くしょっちゅう水路に手紙やら荷物を落としています。  客人が来るのを見ると、帽子を外して会釈するなど、礼儀をわきまえた若者と言って良いでしょう。 ◆地下水道  セネスタの地下を流れる、多くの水脈の一つへつながる入り口です。水路から更に下へと続く階段は、湿った空気を吐き出しています。  階段だけでも湿っていて危ないですが、地下水道は暗く、魔物が出る場合もあるので、普段は立入禁止の張り紙が提示されています。  ですが、中に棲む、ちょっと変わった住人が、時たまその張り紙を剥がしてしまうこともあるようで…。  中には古ぼけた本棚や、机と椅子などがあったりして、一体ここで何が行われているのか…船頭いわく、技能講習との事ですが。 "寂しがりな九つの足"なま=サン(種族:スクイッドラーケン 性別:女 年齢:???) 「チョコパフェ、おいしい。甘いの、好き」 --------------------------------------------------------------------------------------------------  自称、なま=え=がないよ、と言う名前のため、みんなが生さん(なまさん)と呼ばれている、湖をねぐらとしているイカ型の幻獣です。  元々クラーケンだったのか、それとも別の生物だったのかすらわかりませんが、本人があんまり覚えていないらしいので、その真偽は不明です。  とは言えその年齢は相応のものであり、かつて何があったのか、本来10本ある足は1本が半ばより断ち切られています。  海から流れ着いた物品や書物を集めるのを趣味にしており、かつての文明で発案された錬金術や古代魔法など、行使は無理でも知識として蓄えています。  それらの知識は有料にて講座を開いており、その溜めたお金で喫茶店の出前を取っていると言う噂です。  このキャラクターは、ネームドモンスターとして扱います。 ◆郊外  街の中心から離れた郊外で、小高い丘へ登る道となっています。郊外からは花園、墓地、砂浜へと道が続いています。  丘の上へと登ったならば、振り返ったら水に囲まれた町並みが見える事でしょう。  続いている道は丁寧に石畳で整備されており、手入れされた芝生が道の脇には覆い茂っている事もあって、軽いピクニックの場所としても人気です。  とは言え涼しい場所なので、ごろんと寝っ転がって、そのまま風邪を引かないように気をつけましょう。 "手遊び転ず"セイム=デルハイト(種族:ミアキス 性別:女 年齢:18) 「せせらぎの音は気持ちがいいね、お腹が空くよ。 美味しそうな魚の匂いが水からするんだよね」 --------------------------------------------------------------------------------------------------  郊外の湖そばでよく水切りをして遊んでいる、奔放なミアキスの少女です。この街で生まれたミアキスで、町長のハンフリーとは幼馴染みに当たります。  ハンフリーの影響か慇懃無礼な話し方を好んでいますが、一皮剥けば魚とまたたびが大好きな普通の若猫です。  一応この街の学校にも通っており、何人かの悪友とよくつるんでいるのが見かけられます。  ハンフリーと違って直感で動くタイプであり、本人曰く、それを鍛える溜めに水切り遊びをしているとのことです、が…。  その水切りは手遊びどころか一つの秘伝の域まで達しており、彼女と一緒に遊ぶ事で、もしかしたら習得できるかもしれません。  …ただ、奔放な大学生と言うものは色々とお金が掛かるようで、付き合う場合は財布の心配も必要そうです。  このキャラクターは少なくとも、シューター3を習得しています。 ◆花園  郊外から続く石畳が敷かれた小道、植え込みで仕切られたその道を左へ抜けると、誰が育て始めたのか花園が存在します。  遠目からでも色とりどりの花が咲いているのが目に見えるほどで、新たな花はあまり植えられない様ですが、どの花も丁寧に手入れがされています。  花園の中には数人がけのベンチや、その近くにある小さなテーブル。そして忙しなく庭園を歩きまわる、タビットの姿が見れる事でしょう。  様々な香りが溢れるこの花園は、一休みするのにうってつけです。サービスで出されるハーブティーを飲みつつ、ゆっくりしていってください。 "草木を慈しむ"レファーズ=コナー(種族:タビット 性別:女 年齢:27) 「ここは水と土壌がいいから、薔薇が美しく育つのだよ。……時折悪い虫も付くけれどね」 --------------------------------------------------------------------------------------------------  代々花園の管理人をしている、セネスタ生まれのセネスタ育ちなタビットです。  庭師の家系であり、見た目に反して頑固一徹な職人気質です。薔薇を愛でる分には微笑んで見守りますが、手を出そうとすると猛烈な勢いで止めに来ます。  しかしその手入れは変わったものであり、草や花を少しちぎって、自身の口に入れて調子を見ると言うものです。  それで上手く言っているので、文句を言う人は誰も居ませんが…。  また、ハーブティーを淹れるのが趣味であり、その調香術や植物の種など、そう言った種類のものも交渉しだいでは手に入れる事も出来るでしょう。  冒険に役立つかどうかはわかりませんが、日々のアクセントとして齧ってみるのもどうでしょうか。 ◆墓地  郊外から続く石畳が敷かれた道を進むと、鉄柵で仕切られた墓地があります。蔓薔薇が沢山咲いていますが、手入れの為か扉に絡んではいません。  中には、蔦で絡んだ墓石が多く存在しています。百数年の時が経っている為、既に名前も読めませんが、それでも一つも壊れているものはありません。  墓守は一人のトロールが務めており、多大なペナルティを負いながらも、この地で死んだ者、あるいは戦没者の霊を慰め続けています。  この場所に眠っているのは、そのほとんどが《大破局》や、レコンキスタの戦争が原因で死亡した住民や、あるいは相手の兵士です。  死ねば皆平等である、と言う思想が通じるかはわかりませんが、此処の住人はみな、1年に1度、慰霊祭を置こなているようです。 "盲目の道筋"アトゥグ=タジェ(種族:トロール 性別:男 年齢:284) 「もう少し観光名所っぽいところを作ればいいと思うんだがな。町長は図書館から出るのが嫌だと聞きやしない」 --------------------------------------------------------------------------------------------------  セネスタの墓地で墓守を務める、老いたトロールです。かつては戦場にも出ていたのでしょう、その佇まいに隙はありません。  しかし鍛えあげられた筋肉は既に衰えていますし、こちらを見る目は白く濁っており、その盲いた歴史を感じさせます。  なお、鼻は利くので生活には問題がないと言っており、事実、得意なものは料理など、男鰥ながらに一人暮らしは伊達ではないようです。  《大破局》の終末期に生を受けた者であり、その後の小競り合いやレコンキスタでも戦士として出場しており、先人の知恵と技術を講習してもいます。  墓を整備するための金であるため有料ですが、彼自身が戦場で使っていた技や、戦友、相手の技なども覚えており、冒険の糧になってくれるでしょう。  このキャラクターは少なくとも、ファイター13レベル、エンハンサー8レベル、プリースト10レベルを習得していますが、盲目です。 【タージェント流象形ノ棍】入門条件:2500ガメル  この流派は、古く神紀文明時代を起源とするもので、蛮族の戦士に連綿と受け継がれてきた棒状の武器を扱う技術です。  開祖が誰であるのかは明らかになっていませんが、蛮族が蛮族たらしめる"穢れ"を取り込み、様々な種族に分化した際の基礎となった「動物」や「幻獣」を 模した武術を研究し始めた、と言う口伝が残されています。  それが正しいかはともかく、ラミアの尻尾…蛇や、アードラーの翼…鳥類など、様々な生物を元にした蛮族がいるのは事実です。如何せん古い技術である為 に、伝えられる蛮族は数少なくなっていますが、それでもなお、トロールやケンタウロスなど、武人として名高い種族の中では、受け継ぐ者もいるようです。  様々な『型』を模す、即ち象形の武術は、どのような蛮族でも、武器さえ持てれば扱えるべく、棍棒を始めとした棒術によって展開されています。  『叩く』『払う』『突く』の3点を基礎とする技術は、本能に任せた戦いぶりを見せる妖魔すら、極めれば一角以上の武人に進化させると言われます。  なおこの流派は、生粋の蛮族に伝わるもののため、人族社会での使用は原則として不可能です(フレーバー要素として扱います)。 −流派装備−  この流派には流派装備がありません。ただし、すべての秘伝は<ソード><スピア><メイス><スタッフ>と言った、棒状の武器でなければ使用が出来ま せん。 −秘伝− 《山月ノ牙》習得:1000ガメル  基礎特技:《全力攻撃》 前提:なし 装備限定:<ソード><スピア><メイス><スタッフ>  概要:勇猛果敢な突進を行い、機敏な動きで次の攻撃に備える。 『効果』  武器を構え、勇猛果敢に敵に襲いかかります。一足飛びに突撃するその動きは、静にして勇、獲物へ襲いかかる虎に似ます。しかし、獲物となるべき対象が 正常な肉体を備えていない場合は、その型は本領を発揮できません。  キャラクターが近接攻撃で発生させる物理ダメージ、魔法ダメージを+3点し、かつ次の手番まで回避力判定に+1のボーナス修正を得ます。  ただし、攻撃の対象が「蛮族」「動物」「幻獣」「人族」であった場合、この秘伝によって受けるボーナス修正が『2倍』となります。 《燕ノ返シ》習得:1000ガメル  基礎特技:《斬り返し》 前提:なし 装備限定:<ソード><スピア><メイス><スタッフ>  概要:武器を振りぬかずに一撃で返す軌道を叩き付ける、二段斬りの基礎となる技。 『効果』  振った武器を一瞬で返し、同じ軌道をなぞって二段目の攻撃を叩きつけます。《斬り返し》と似ていますが、こちらは速度を重視し、2つの振りで1つの音 が出る事が最低条件とされています。その圧倒するような素早さは、実体のないものさえ紙のごとくに叩き伏せると言います。  この秘伝の使用を宣言したキャラクターは命中力判定に−1のペナルティ修正を受けます。及び、近接攻撃で発生させる物理ダメージ、魔法ダメージが+2 点され、その武器は「魔法の武器」であるものとして扱われます。 《山犬ノ群》習得:1000ガメル  基礎特技:《薙ぎ払い》 前提:なし 装備限定:<ソード><スピア><メイス><スタッフ>  概要:何度も噛み付く様に武器を乱打し、近くに居る敵を攻撃する。 『効果』  構えた武器を細かく振って乱打し、敵を嬲る狼の群れの様に近くの敵を攻撃します。《薙ぎ払い》と大きく違うのは、一度の振り抜きではない為に命中の精 度が向上している事が挙げられます。ただし、狩りよりも弱らせる事を目的としている為、威力を犠牲としたものとなっています。  同じ乱戦エリア内にいる、任意の5体までの敵へ近接攻撃を行えます。この時、命中力判定に+1のボーナス修正を得るとともに、選んだ対象ごとに命中力 判定を行う事ができます。ただし、攻撃の『威力』に−10のペナルティ修正を得ます(最低値は0です)。 《椿ノ落花》習得:1500ガメル  基礎特技:《命中強化》 前提:なし 装備限定:<ソード><スピア><メイス><スタッフ>  概要:花を手折る様に、首を狙って突き落とす一撃。 『効果』  椿の花を落とすがごとくに、一瞬の隙を突いて首を貫き、その呼吸を阻害します。絡みと違い長くは持続しませんが、急所を狙う攻撃は防護を貫通し、かつ 魔法の行使を妨げる事でしょう。  この秘伝の使用を宣言したキャラクターは命中力判定に−3のペナルティ修正を受けます。及び、近接攻撃が命中した場合、対象の防護点が「−4」点され たものとして計算した上で、30秒(3R)の間、魔法の行使判定や、『○○のブレス(息)』の達成値に−2のペナルティ修正を与えます。  この効果は累積しません。 ◆砂浜  時計塔と並んで、セネスタの名所となっている場所こそ、ここ砂浜と言っても良いでしょう。  湾岸に造られた街は世界でも少数ですが、更にここは小さな内海に面しているため、他所とくらべて非常に安全な泳ぎを楽しむ事ができます。  また、そもそも街の一箇所として管理されているため、危険が発生した場合は迅速な対応が取られる事でしょう。  マーマンやセイレーン、リザードマン等の水棲蛮族から、エルフ、ウンディーネと言った妖精まで、様々な種族が水辺で憩いの時を過ごすようです。  外の人間が海に入るには、水長の許可が必要です。 妙なものを放されたり、あるいは海を汚さないように、と言うような事を注意されます。 "4代目水長"ミラーマ=バーソロミュー(種族:ライカンスロープ 性別:男 年齢:189) 「まァ、俺もここに来て長いからねえ……あ、海に行くなら、溺れねぇ様に気をつけろよ、俺泳げねぇからなあ…」 --------------------------------------------------------------------------------------------------  セネスタの街の取水管理、あるいは水回りの管理を町長より任される、水長と言う役目を継いだ、老いたライカンスロープです。  彼もまた若いころにレコンキスタを相手取り、遺跡の中を駆け巡ってかく乱していたと言う過去を持ちます。  が、それも既に過去の話。今ではもはや、人化を継続させる力すら十全に発揮させる事はできないほどに老いています。  膝に矢を受け、走れなくなって久しい彼は、猛っていた若いころを懐かしみつつ水長の役目を果たす事に全力を注いでいます。  残り10年と少しの寿命で、新たな水長を見つける事が、今の目標なようです。